下弦の月

仲良し嬢にチケット取ってもらって、初めて観てきました「髑髏城の七人」。こんなに有名タイトルなのに今まで上手に避けて来たのか、ってくらい縁がなかった。全くの予備知識なしで観てきたんですけど、楽しかった。とにかく楽しかった。

なんとゆーか、まずね、有名タイトルには有名タイトルになるだけの華やかさがありますよね。きちんとエンターテイメントしてる、と云うか。バランスが良いんだろうね、コメディタッチの部分と、シリアスなムードと、エンディングに向かってきっちり収束してゆく流れとか、もろもろのバランスがね。
上演時間あれだけ長いのに中だるみしないし、飽きさせないようになってるの、ほんとすごい。(だって、前半1時間半、休憩20分、後半2時間。18時開演で終わるの22時ってかなりの長丁場よねw)

それで、やっぱりね、わたしはあんなにお金のかかったお芝居は観るのが初めてでしたw 小さい小屋でかかる、規模の小さいのしか観たことなかったから驚きがとてもとても大きかったです。だってあの芝居の為に建てた、360度回転する舞台装置の為の劇場って。それだけでもう、ねぇ。吃驚しちゃいますよ、ねぇ。場面転換の為にスクリーンを閉めて役者が移動してる最中も、大きなスクリーンにプロジェクションマッピングで城の石垣やら、広さしか感じられない城の内部やら、叢に降る雨やらを映し出して、演劇と映像とを融合させた新しい映像体験、と云うか。本物のセットに、本物の役者が居て、その上に映像でいろいろを補完してくれるから、演劇と云うより映画を観てるみたいな感覚もあって。けど映画のプリントでないライブ感が新鮮で。不思議な体験でした、とても。


で、肝心の役者さんたちのお芝居なんですが。なにせ初めて見る役者さんばかりで。 仲良し嬢の推しの2.5次元俳優さんたち、今まで彼女が送ってきてくれる写真でしか見たことがなかったから、セリフ喋ってるの、と云うか声を聴くのが初めてで、おぉ!そーゆー声だったのか!と。いろいろびっくりしました。特に鈴木拡樹さん。普段はあんなに優しそうな、どちらかと云えば可愛らしいお顔立ちなのに、天魔王のメイクや衣裳で、狡くて悪い、でも心が弱い悪役を美しく演じてらして、あれはとても楽しそうだった。あんな声が出るのか。役者さんてああ云う役にハマれる人には、たまらなく楽しいんじゃないかな。

それから、仲良し嬢の推しの、廣瀬智紀さん。綺麗でしたねぇ。あなたもそーゆー声なんだ、ちょっと意外!って感じでした。聞くところによると、殺陣も初めてだったそうですが優雅に舞うように演じてらして美しかった。無界屋蘭兵衛と森蘭丸、演じ分けも細やかで、とても丁寧で、素敵でしたねぇ。

二幕始まった直後の天魔王と蘭丸の掛け合い、思い出してもすごかったですね。死んだ信長の愛情やら無念さやらが、信長は舞台には登場しないのに、圧倒的な存在感として呪いのようにふたりに降り注ぐの、あのふたりの芝居だけでそれを感じさせるんだものね。あのふたりの熱量だけで、髑髏城が焼け落ちるかと思いましたよ、ほんと。

そして主人公の捨之介、あのキャラはいつもあんな感じなの?なんか恰好イイ、所謂若手の二枚目俳優がやる役ではないんだろうなと思ってしまった。なんとゆーか、もうちょっとさ、コメディが上手い俳優さんがやると味が出るんじゃないかしら、って役よね、捨之介。宮野さんがダメとゆーんじゃなくて。マモ之介はかなりカッコよくてカワイイ、しかも色気のある声の捨之介になってたのじゃないかと思うんですけど。勝手なイメージですけど、捨之介と云う役は、あんまりカッコイイ役者がやらなくてもよくて、むしろカッコイイことが先行しない役者が演じる方が面白いんだろうなと思ったりね、しました。(その意味で阿部サダヲの捨之介は見てみたかったな) (そして多分、あの少年漫画のヒーローみたいな性格の捨之介とゆーキャラクターにそれほど魅力を感じていないんだろうな、わたしは。知ってる、主人公なのは知ってる!でもいつも脇を固める役に肩入れしがち)

あと極楽太夫の羽野晶紀!彼女がいなかったら多分かなり印象違ったはず。下弦キャストに羽野晶紀が居てよかった!多分それくらいの存在感でした。艶やかで、でもキュートで、そしていいお声であった。やっぱり声、大事。とても大事。

いろいろ読んだりするうちに知ったんだけど、そもそも霧丸は女の子のキャラクターだったんですって?女の子が演じるバージョンもかなり面白そう…と思うんですけど、霧丸は頭から終いまで出ずっぱりのいちばん大変な、それでいて美味しい役ですよね…おつかれさまでした。


と云うことで、初めての髑髏城、たいへん刺激的な舞台でした。楽しかった。ありがとうございました。ラストの水辺のシーン、舞台の上の川の水が、劇場の天井に映って、天井がきらきらゆらゆらと揺れる様子が美しくて、ひとり、またひとりと舞台を去ってゆくのがさみしくて、ゆらめく天井をいつまでも見ていたかった。

と云うことで簡単なレビューでした。
おやすみなさい。よい夢を。



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