鑑賞レビューなど。
映画「プラネタリウム」のネタバレを含みますのでまだの人はどうぞ回れ右して映画をご覧になってからお読みください。
………………………………………………
タイトルが秀逸。
暗くしないと見えないものがある、と冒頭で姉妹の会話があって、すべてがそこに集約してる。暗くしないと見えないもの、プラネタリウムの星々、劇場で見る映画、ケイトが呼ぶ誰かの気配(誰かがケイトに寄ってくるのだとケイトは言ってた)。
あの時代にあって、女ふたりで生きること、姉が妹を守って生きることは恐ろしく大変なこと(あの時代じゃなくても)。妹大好き!なお姉ちゃんには大変ヘヴィな映画でした。けれど美しかった。姉妹の愛情と心の流れが。(あともちろんナタリーの気高い、けれど迷いと憂いのある美しさと、初めて見るリリーローズの不安そうで不安定で柔らかな妹っぷりと。)
ローラは大事な人を次々に失って(行方の分からない彼の死はこの先彼女の元に報せられるだろうし)、これから2次大戦が始まる、あのエンディングの映画の撮影シーンの作りものの星たち!作りものの星空(=プラネタリウム)の下にいて、正直これから彼女がしあわせになれる気がしないのがかなしくてかなしくて。(いっそ彼女のようなひとは若くして亡くなるとその方がしあわせかもしれないのに、きっとひとり哀しみをずっと胸に抱いて長く生きるんだろうなと思えてまた悲しい。)
描かれていないエピソードがきっとたくさんあるんだよ、きっと。ケイトの右の眉毛が少しないのは、例えばもっと小さい頃、ローラが目を離した隙に怪我をしてしまって生えなくなったとか、もしくはケイトはあそこだけ眉毛抜いちゃうような精神状態だとか(わたしの友だちにもいました、酷くなると眉毛抜く癖のあるひと)、想像する方が楽しくない?それこそ暗くしなければ見えないことがたくさんあるってことを。
それと、わたしはたまたま「ポーの一族」の最新作をコミックスで読んだばかりで、2次大戦下、弟を守りたかったお姉ちゃんがバンパネラにならざるを得なかったのがかなしくて泣いたところだったから、わたしにとっては次代背景なんかも含めて、分かりやすく儚くてかなしくて美しい映画だった。ひと様のレビューがほとんど参考にならない一方、きっとわたしのレビューも他のひとの参考にはならないだろうと心から思う。
.
0コメント